Dr.Kernelの見た世界

ゆとり第一世代の医師。読んだ本の感想や社会と経済、気になるテクノロジーやヘルスケアの話

2030年ジャック・アタリの未来予測(ジャック・アタリ)

 

2030年ジャック・アタリの未来予測 ―不確実な世の中をサバイブせよ!

2030年ジャック・アタリの未来予測 ―不確実な世の中をサバイブせよ!

 

 

だいぶポップなタイトルだが原題はvivement après-demain critique(明後日を生き生きと)といったタイトルのようだ。これまでのジャックアタリの著書と同じように、現代の社会の様子から、未来に起こりうる良いことや破滅的な悪いことを予測する。しかし大事なのは破滅の予言ではなく明るい未来を迎え入れるために我々がすべきことを提言する。
 
我々が直面する最も大きな生存の危機とは核戦争である。現代は世界のどこかで核戦争が勃発しかねない不安定な世の中だ。核戦争が一度おこれば非常に多くの人々が核兵器により命を落とす。条約によって禁止されている化学兵器生物兵器だって世界大戦が起きたら、勝利を得たい陣営は手段を選ばず使用するだろう。戦争を引き起こしうる原因はいろいろある。環境問題からくる経済問題、宗教対立などからくるイデオロギーの対立、侵略などである。
 

Conflict

 
本書によればそれらを防ぐにはやはり技術開発であったり、強いリーダーシップをもった国際組織の存在が重要になるという。30歳未満のみからなる議会を作るという提言も面白みを感じた。先日読んだ21世紀の歴史では、能力を持った個人がノマドとして活躍する未来が描かれていた。本書でも同様に個人それぞれの尽力が必要であるという立場が取られている。しかし国家により教育からドロップアウトすることなく遍く教育を行き渡らせることができてようやくそれは実現する。
 
ジャックアタリの著作には暗い未来がこれでもか、というほどに記述される。しかし彼にはダークサイドだけでなく、ライトサイドの未来も見えている。明るい未来へ向かうための歩み方を示唆してくれる。事実、高齢化を続けるヨーロッパ社会のなかでもフランスは高い出産率を実現しているし、ジャックアタリの尽力もあってかフランスでは若いマクロン大統領がポピュリズム政党を抑えて誕生した。noblesse obligeという言葉があるが、世の中の革新に必要とされる人材は目の前の利益を追うのみでなく、長期的な視野をもち、利他的な行動ができる人なのだろう。こうした人々は利他的であったとしても本人もちゃんと幸福を享受できるとされている。

 

・民主政の始まりとしてギリシャの歴史を見直してみるとそこから現代社会へのつながりが実感できるはず。

 

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地政学として隣の大国中国の事を意識しないわけには行かなくなってきました。

 

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 ・かつての権力は衰え、世界が変わりつつ有ることを指摘

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