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【検証】可変レバレッジ戦略

記事の最新バージョンはこちらに移動しています。

https://drkernel.net/archives/61

 

※2017/12/10 編集履歴
・TMFのチャートが現行のものに近似するように修正。
・配当再投資の計算(S&P500)が間違っていました、そちらも修正しています。

 

twitterを見ていたら、ROKOHOUSE さんのブログに興味深い記事がありました。普段は投資のことを真剣に記事にすることは無いのですが、あまりにも興味を誘ったのでその検証記事を書かせていただきます。元記事はこちら。

 

www.rokohouse.net

 

可変レバレッジ戦略

投資本も以前に何回も取り上げてはいるのですが、以前に投資本で読んだよりも圧倒的なパフォーマンスを誇るポートフォリオ戦略をとりあげていたので注目しました。しかもそのポートフォリオに入れていた銘柄が自分が以前に(個人的に)検証してクソ銘柄だと思っていたレバレッジETFを使用していた、というところがさらに驚きの記事でした。

 

詳しく知りたい方はROKOHOUSEさんの記事を読んでいただきたいのですが、レバレッジを掛けた商品を買ってリバランスを繰り返すことで、S&P500をこえるハイパフォーマンスが得られる、といった趣旨の記事です。

 

レバレッジETFがなぜダメかというと、単独で長期的に保有すると下げの影響を受けやすく、リスクが非常に高くなるからです。それを克服する投資方法がありました。

それは、債券ETFを組み合わせることでした。

記事ではリーマンショック後のリターンで可変レバレッジ戦略はインデックス投資をアウトパフォームした、ということが書いてありました。自分的に気になるのは「リーマンショックで激しくダメージ喰らわないの?」「ブラックマンデーみたいな1日でめちゃくちゃ下がる日があると壊滅的なダメージを喰らわないの?」ということでした。しかし、データの提示はありません。

じゃあ、自分で検証するか。

検証の方法

検証の方法はR studioを使って統計プログラミング言語のRを動かして行いました。これは他の人の検証も必要なので後日別記事にします。やったことは、

・Yahoo Financeで関係のあるデータ(S&P500, SPXL, TMF, BND)のヒストリカルデータをゲット。

・債券関係のインデックスが見つからなかったのでVBMFXで代用。

S&P配当のデータを読み込む

・Ibbotsonのヒストリカルデータを参考に、債券関係のデータを1950年ごろまで遡って乱数(正規分布でmeanとSDを債券データに当てはめた)をつかってシミュレーション。

・S&P500とシミュレーションの債券データを使ってSPXL、TMF、BNDがもし1950年ごろからあったら、という仮定のもとに仮想チャートを作成する。SPXLとTMFは1日の価格変動率がS&P500, 債券の3倍で計算、経費維持率は1%/年。

・それぞれの仮想データを元に様々な投資戦略(S&P500のインデックス投資、ROKOHOUSE式投資の小リスク、中リスク、大リスク)のシミュレーションを行う。1951年1月1日に100ドルを投資した場合の額をチャートにする。3ヶ月に1回(3,6,9,12月の最終営業日)、S&P500のインデックス投資は配当を全額再投資して、ROKOHOUSE式投資ではリバランスを行う。

・投資時期によるリターンの違いを検証するためにある時点で投資を開始した場合のリターン(%)をチャートにする。

結果

ちなみに、ちゃんとした米国投資の様々なクラス(大型株、小型株、債券 etc...)のリターンを示したIbbotsonのチャートがこちら。

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Yahoo financeから得られるだけのデータでプロットしたそれぞれのインデックス、ETFの価格表がこちら(対数グラフ)

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シミュレーションを元に補完してみたチャートがこちら。BNDの価格とか、シミュレーションなので1980年ごろからのリターンの向上が再現はされていません。

 

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このチャートを元に1951年1月1日に様々な戦略で100ドルを投資に回してみた場合のリターンのチャート。見ると、インデックス投資では今日時点で約11万ドルになるのが、小リスクでも59万ドル、中リスクでは109万ドル、高リスクでは195万ドルになります。劇的にリターンが変わります。素晴らしい!

 

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様々な市場環境に晒された場合、良さそうな戦略もリターンが低下する可能性もあります。このためいつ開始するとリターンが下がるのかを検証するために5年間のリターンをだしてみました。驚くべきことに、ROKOHOUSE式はいつ始めてもほぼすべての時期でS&P500をアウトパフォームします。計算を何回かやり直してみた所、バブル崩壊のようなイベントがあるとレバレッジはアンダーパフォームすることがやはりあります。

 

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この解析を経て、ますます目からウロコが落ちるような感覚でした。素晴らしい。hiroさんは未来のバフェットかもしれません。素晴らしいアイディアを検証できた事で、自分の投資方法も見直してみようと思いました。

ちなみに、今回の解析では売買にかかる手数料や税金は考慮していません。売買が増えれば増えるほどこれらのコストがかかるためリターンは下がります。また、TMFに関してはシミュレーション分はむしろ本来の商品よりリスクの少ない商品になっています。

お願い

仕事で統計解析はしますが、統計の専門家ではありません。今回の検証方法に疑義がないか、様々な方の目でできれば確かめていただきたいです。データを公開します。ZIP形式です。一切ウイルスなど入っていないと思いますが自己責任の元ダウンロードお願いします。

生データ(一切の編集なし

シミュレーションデータ

 

※今回の解析は趣味レベルです。投資は自己責任でお願いします。

・今回参考にさせていただいた元記事。

www.rokohouse.net

 

 

・シーゲル教授の書いた投資書のバイブル

drkernel.hatenablog.com

 

 ・投資戦略の中でリスクオフの重要性を説いた本。

drkernel.hatenablog.com

 

・記事にはしていませんが、インデックス投資のバイブルですね。